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Author:あまがい繁子イラストレーター・一級建築士秋田市で、お絵描きを楽しむ暮らしをしています。映画、ピアノが趣味ブログ内画像の無断使用は、すみませんがお断りいたします。
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この絵を見て、また飲み直そうと思いました(笑
ハタハタは私の大好きな作家、藤沢周平の作品に出てきて、
それは色々な意味で羨ましいほどの場面での話でした。
白髪がふえ、酔いに顔を染めている佐伯熊太を見ているうちに、
清左衛門は酒がうまいわけがもうひとつあったことに気づく。
気のおけない古い友人と飲む酒ほど、うまいものはない。
「今夜の酒はうまい」
清左衛門が言うと、佐伯は湯上げはたはたにのばしていた箸を置いて、
不器用に銚子をつかむと清左衛門に酒をついだ。
「この寒さじゃ、酒でも飲まなきゃ世の中過ごせんぞ、三屋」
「何だ、言うことが支離滅裂だな。酔って来たか」
「なあーに、まだ序の口だ」
町奉行は自分も手酌で酒をつぎ、またはたはたに手をのばした。
はたはたは、田楽にして焼いて喰べるのもうまいが、今夜のように大量に茹でて、
大根おろしをそえた醤油味で喰べる喰べ方も珍重されている。
町奉行は勢いよく、ぶりこと呼ばれるはたはたの卵を噛む音を立てた。
浜でははたはたがとれるようになると、季節は冬に入る。
私の知人が秋田の出身で、毎年故郷から送られてきたハタハタを、
おすそ分けしていただいたものです。
その知人も二年前に虹を渡ってしまいました。
ハタハタというと、この小説と知人のことが鮮やかに蘇ります。